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ナムジャイブログ

2018年12月17日

長距離バスの自己責任論

 今年の後半は長距離バスによく乗った。中国の新疆ウイグル自治区を走るバス。そしてアメリカのグレイハウンドバス。日本でも、実家のある信州と新宿の間を走るバスにはよく乗る。中国、アメリカ、日本……。それぞれルールが違う。
■アメリカの自己責任論
 グレイハウンドバスの運転手は、発車するとき、ルールの説明をする。そのとき、よく口にするのが「責任」という言葉だ。レスポンスビリティである。
「発車時刻には自分の責任でバスに戻ってください」
 そして発車時に乗客の数を数えない。時刻がきたら、すっとバスを発車させてしまう。乗り遅れは自己責任という発想だ。アメリカ社会のひとつの特徴のように思う。
 それに比べ、日本と中国は、発車前に乗客を確認する。戻っていない乗客を運転手は待ったりする。
 日本では、海外でテロなどに巻き込まれたときなどに、この自己責任論がしばしば登場する。しかしアメリカでは話題にもならないはずだ。自己責任は当然のことだからだ。
■中国の契約概念
 中国のバスは、発車時に運転手が注意事項を伝えることはない。なにもいわずに発車する。アメリカと日本はその注意事項の説明に乗客との契約概念を含んでいる。
 たとえば喫煙。アメリカと日本は車内禁煙を伝える。そこには守らなかった客への罰があることを含んでいる。しかし中国にはそれがない。中国のバスも車内で煙草を喫う人はいないが、もし喫ったら……。中国社会の民度はまだ低いように思う。
 シートベルトの着用はアメリカと日本では伝えられる。しかし多くの人がシートベルトを締めない。ところが中国は、運転手がなにもいわないにも関わらず、ほとんどの人がシートベルトを締める。これは契約の概念とは少し違う気がする。やはり事故が多いのだろう。ネットで事故映像をよく観ることも一因だろうか。
■運転手の威厳
 アメリカのバスの運転手は威厳がある。中国もなかなかしっかりしている。休憩時間に道路に出たりすると注意する。乗客を管理するという発想は、中国の運転手に強い。
 最も威厳がないのが、日本の運転手だろうか。会社に雇われた運転手という雰囲気が伝わってくる。個人としてのキャラクターは前面に出てこない。自己主張というものへの風土が違う気がする。
 アメリカと中国、日本。いちばん安心してバスに乗ることができるのはアメリカのように思う。運転手と乗客の間に生まれる信頼感はなかなかのものだ。「メリークリスマス」という言葉を残して交代するアメリカの運転手。長距離バス先進国ということか。

■このブログ以外の連載を紹介します。
○クリックディープ旅=再び「12万円で世界を歩く」のシリーズがはじまります。
○どこへと訊かれて=人々が通りすぎる世界の空港や駅物。
○東南アジア全鉄道走破の旅=苦戦を強いられている東南アジア「完乗」の旅。いまは番外編を連載中。
○タビノート=LCCを軸にした世界の飛行機搭乗記


Posted by 下川裕治 at 12:27│Comments(1)
この記事へのコメント
マレーシアからタイへバス国境超えのとき似たような車が沢山あり乗ってきたバスが
分からなくなってしまったことがありました。
運転手が見つけてくれたので何とかなりました。
運転手と仲良くしてよく話しておいて良かったです。
アメリカは怖いですね。
Posted by たぬきまるだいすけ at 2019年02月03日 00:35
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