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ナムジャイブログ

2019年01月07日

新年から猫介護

 初詣にでかけ、手を合わせた。今年は願いごとがひとつ増えた。
「癌が良性でありますように……」
 我が家には2匹の猫がいる。その1匹が年末から餌を食べなくなった。9歳である。
 動物は死期を察すると姿を消すことはよく知られている。しかしおそらく、動物は死を認識していない。衰える体力を認識し襲われても戦えない……と身を隠す。その本能が植えつけられているからではないかといわれる。
 動物の中で、死を認識できるのは、おそらく人間だけだ。死んでしまったら、どうなるのだろう……。原始宗教を考えると、スタート地点は、そのあたりにある気がする。魂という架空の存在を生みだすのもそのひとつ。天国という場所も、実在はしない。
 しかし、そういう装置をつくらなくてはならないほど、死の認識は重い。人の苦悩は、死を認識したところからはじまる気がしないでもない。
 しかし欲という厄介なものを動物はもっている。人は死期が近づいたことを察しても、食欲はある。
 ではなぜ、猫は食べることを拒否してしまうのだろうか。あまりに潔い。人間を含めた動物の本能は、常に食べ物がある状況に設定されていない。身を隠すということは、食べ物がないことを想定した本能なのだろうか……などと考えてもみるのだが。
 欧米では癌に罹ってしまったペットを、安楽死に導くことが多いという。苦しまないで送ってあげたいという優しさなのだろうが、その根底にはプラグマティズム的な発想がある気もする。
 昨年末、往診専門の獣医さんにきてもらった。癌の可能性が高いことを、告げられた。とりあえず血液検査。癌であるとしても、良性なら……。昨日、血液検査の結果が届いた。──上皮性悪性腫瘍(癌)を強く疑う。
 それが診断結果だった。
 さまざまな治療法を告げられた。最近はレーザー治療もあるのだという。しかしそれを受けても余命は1年。
 猫介護の決断をした。僕は海外に出ることが多いので妻や娘たちがケアすることになるだが。なにも食べないから、液状の餌をスポイトで口に流し込む。そして目薬。
 猫の細胞のDNAが発するサインに抗うようなケアになってしまうが、野生を内包しながら家猫になった猫は、スポイトから流し込まれる餌をぴちゃ、ぴちゃと、おいしそうに飲み込む。だったら……と、皿に流動餌を入れて置くと逃げていってしまう。ほとんど食べていないから、もう体力もないのだが。
 今年は猫介護からはじまった。

■このブログ以外の連載を紹介します。
○クリックディープ旅=再び「12万円で世界を歩く」のシリーズがはじまります。
○どこへと訊かれて=人々が通りすぎる世界の空港や駅物。
○東南アジア全鉄道走破の旅=苦戦を強いられている東南アジア「完乗」の旅。いまは番外編を連載中。
○タビノート=LCCを軸にした世界の飛行機搭乗記


Posted by 下川裕治 at 13:28│Comments(0)
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