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ナムジャイブログ

2019年04月29日

長生きすれば多数派になれる?

 日本は10連休である。今日は天気のいい行楽日和だった。そんな1日、なにをしていたかというと、机に向かって再校ゲラと格闘していた。6月に刊行される『シニアひとり旅インド、ネパールからシルクロードへ』(平凡社新書)である。連休にはそぐわない時間がすぎていく。
 先週、知人と会った。契約で働いているのだが、10連休に頭を抱えていた。その間の収入がなく、月給が減ってしまうのだという。
「なにかバイトを探さないと……」
 僕の周りにはサラリーマンが少ない。彼らの口から聞こえてくるのは、10連休への不満ばかりだ。
 フリーランスというものは、基本的に会社から仕事を受けている人が多い。サラリーマンたちは、連休明けの締め切りを設定して休んでしまう。ただ仕事をするだけの連休になってしまうのだ。
 僕も原稿を書いて暮らしている。ゴールデンウィークに休んだという記憶がない。そもそも今年、10連休になることを、半月ほど前まで知らなかった。どうせ、ゴールデンウィークは休めない……と思っていたからだ。
 知ったのは飛行機の予約を入れるときだった。軒並み満席で運賃も高い。
「今年は10連休ですからね」
 旅行会社からそういわれて連休の長さを知った。
 僕にとっても、10連休はいいことがなにもない。そんなとき、日本はサラリーマン社会であることを改めて教えられるのだ。
 原稿を書いて暮らしているというと、羨ましいといわれることはある。しかしその内実には少数派の不遇が潜んでいる。長い連休にしても、その恩恵を受ける人たちは黙って休暇をとっている。文句をいうのは非サラリーマンが多い。少数派の意見は晴れた青空のなかで消えていってしまう。
 明日も明後日も原稿を書かなくてはいけない。そしてその翌日には、やっととった航空券でバンコクに向かう。そしてまた仕事。ニュースで楽しそうに行楽地を歩く日本人の姿を見ると、どうしてもいじけてきてしまう。
 連休前の平日、ぽっかりと締め切りのない1日を手に入れた。思い立ってひとりで高尾山にのぼった。登山道で行き交うのはシニアばかりだった。皆、混みあう週末や連休を避けて山にきているのだ。
 そういうことではないか。そんな気もするのだ。退職し、毎日が日曜日になったシニアには、連休は意味がない。ということは、彼らはどんどん少数派に流入する。推計では2036年、3人にひとりは高齢者になる。長い連休に文句をいう人々は、もう少数派ではなくなるのだ。
 それまで生きていたら、僕もやっと多数派になる?

■このブログ以外の連載を紹介します。
○クリックディープ旅=再び「12万円で世界を歩く」のシリーズが連載中。
○どこへと訊かれて=人々が通りすぎる世界の空港や駅物。
○東南アジア全鉄道走破の旅=苦戦を強いられている東南アジア「完乗」の旅。いまは番外編を連載中。
○タビノート=LCCを軸にした世界の飛行機搭乗記


Posted by 下川裕治 at 12:22│Comments(0)
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