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ナムジャイブログ

2019年12月16日

疲れる国に疲れに行く

 バングラデシュのコックスバザールで、学校の修復工事に立ちあっている。日本は最初に全部を決めて工事がはじまるが、バングラデシュは、工事をしながら、次の工程の資材を買っていくという進め方。戸惑うことが多い。廊下と外壁の修復がほぼ終わり、腐食した屋根の修復がはじまる。
 で、現場責任者とコックスバザールでお金や工事を管理しているスタッフと一緒にトタン屋へ。いろいろ見せてもらう。だいたい決まってきたのだが、そこでいったん帰るという。12月いっぱいの工事を終えなくてはならない。授業が1月からはじまるのだ。
「間に合うの?」
 と訊くと、
「大丈夫。一度、話を伝えて、明日から値引き交渉をはじめる」
 という。
 最初に決めた見積もりはなんだったのかと思うのだが、これまでの修復にかかった費用をみても、ほぼ見積もり額で収まっている。これってバングラデシュのマジック? などと考えてしまう。
 新しい問題も発覚した。バングラデシュはいま、気候も涼しくなり、観光シーズンを迎えている。コックスバザールはバングラデシュいちばんのビーチリゾートという顔をもっている。イスラム教徒は、肌を晒すことがないので、水着にはならない。ただビーチで海を眺めるだけ。それでもビーチリゾートなのだ。
 観光客はコックスバザールにある仏教寺院にも訪れる。しかし彼らのマナーが悪い。土足で入ったり、ごみを捨てたり……。彼らは仏教のしきたりを知らないから無理もないのだが、この光景に僧侶が怒ってしまった。そして寺の入り口の扉を閉めてしまった。
 僕らが運営する学校は、この寺の敷地のなかにある。つまり生徒が学校に通学できない状態になってしまったのだ。
 いま、学校は休みだからいい。その間に修復工事をしている。しかし1月1日から学校がはじまる。そのときまでに、僧侶を説得しなくてはならない。
 僕も知っているが、この寺の僧侶はなかなか頑固。はたして首を縦に振ってくれるか。登校と下校時間だけ扉を開けてもらうという妥協案が受け入れてくれるか。
 生徒数が140人ほどの学校だが、次々に難題が発生する。そのたびに交渉。なんだかとても疲れる。
 トタンを買うことにしても、なかなか一発で決まらない。これにも疲れてしまう。
 昔から思う。バングラデシュは疲れる国だと。なにをしたわけでもないのに、夜になるとぐったりとしてしまう。年をとると、その疲れが堪える。本当に。

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Posted by 下川裕治 at 12:55│Comments(1)
この記事へのコメント
バングラは旅行きついのですね。考えてしまいます、行くことを笑。
Posted by にし at 2019年12月16日 15:00
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