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ナムジャイブログ

2020年01月13日

香港の抗議活動が結果を出した

 台湾の総統選は、蔡英文の圧勝という形で終わった。1年前、この結果を予測していた人はほとんどいなかった。当時の台湾の民進党はよろよろとしていた。
 台湾では2018年の秋、統一地方選が行われた。そこで民進党は国民党に負ける。その流れは止まらなかった。2018年の12月に高雄の市長選が行われた。そこで民進党は敗北。国民党の韓国瑜が市長になった。
 民進党にとっては大変なことだった。高雄は民進党の牙城である。1998年以来、民進党が市長の座を守ってきた。そもそも台湾は、南部を地盤にする民進党と、台北を中心とした北部に強い国民党……という構造のなかで推移してきた。
 この結果を、中国は好機と呼んだのだろうか。2019年の1月、習近平は演説を行った。そのなかで、「一国二制度は国家統一を実現する最良の方法」と方針を示した。
 しかし昨年の6月、香港で抗議活動がはじまる。デモは広範な展開を見せる。それに対して、香港政府は強硬姿勢で対応した。香港市民はわかっていた。香港政府の背後には中国がいることを。香港政府は中国の指示で動く操り人形だった。
 雨傘運動から続く、香港市民の抗議行動は大きな成果を生んでいない。しかしそれは香港に限ったことだった。
 昨年末、日本に暮らす台湾人と話をした。「香港の抗議活動を見ながら、はっきりとしてきました。僕は台湾人だってことが。一時は中国人って思っていたこともあったんですけど」
 香港の抗議活動は、民進党や蔡英文も変えていったような気がする。
 蔡英文をはじめて見たのは8年前だった。やはり総統選。民進党の支持者が集まる巨大な会場で、ステージにあがる彼女を見た。印象? 地味そうな人だと思った。政治家っぽいところがなにもなかった。そのときの総統選では敗れるが、4年前の選挙で総統になった。しかし発言は慎重だった。
 もとは学者だから派手なパフォーマンスはない。前の民進党政権への反省もあった。経済の依存度からすれば、中国との摩擦は避けたい。そんな事情が、とこか判断力が弱いというイメージをつくりあげていった。
 しかし今回、はっきりと、中国が編み出した一国二制度にノーを突きつけた。どこか政治家としての駆け引きを身に着けたような気がしないではない。
 蔡英文にそういわせたのは、香港の抗議活動だった。台湾の人々が民進党に動いた背景にも、香港の抗議活動がある。
 香港の民主化運動は、香港ではほとんど成果をあげていない。しかし台湾を動かし、台湾で結果を出したようだ。

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Posted by 下川裕治 at 11:22│Comments(0)
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