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ナムジャイブログ

2020年09月07日

台風は陸地との相性が悪い

 那覇にいる。台風である。強い台風で、中心部の気圧は925ヘクトパスカルもある。
 沖縄に来る機会は多いから、台風には何回か遭遇している。とくに9月と10月。多い年は、毎週のように台風に見舞われる。沖縄の知人が話してくれたふたつの言葉を、強風に吹かれながら思い出す。
「935ヘクトパスカルより気圧が低い台風は怖いよ」
「沖縄では台風は弱くならず、強くなっていくさー」
 本土に暮らしていると、上陸した台風は急速に勢力を弱めていく。しかし沖縄は逆に勢力を強めていく。台風の側から見れば、沖縄は海と同じなのだろう。
 これだけ強い台風に何回も見舞われながらも、沖縄での犠牲者はそれほど多くない。沖縄は平坦な島が多く、川も少ない。川が氾濫するという水害が起きにくい。高い山もないから、土砂崩れの話もあまり聞かない。
 そう考えてみると、台風というものは陸地との相性が悪い。
 だからだろうか。沖縄の人々が台風を語るときの表情は暗くない。1日ほどで去っていくもので、その後はすっきりとした空が広がるからだ。それに比べると、本土の水害や土砂崩れは、台風が去った後も続く。床上まで浸水してしまったエリアは、その復旧に何ヵ月もかかる。家を放棄しなくてはいけないこともある。
 しかし沖縄の台風はとんでもないことを起こす。風が強いからだ。935ヘクトパスカルより気圧が低くなると怖いというのは、風が魔物のように襲いかかることがあるからだ。
 軽い車は簡単に動いてしまい、ときに横転する。思いもつかないものが、路上をころころと転がっていく。
 ときどき起きるのが、屋上にある給水タンクが風に飛ばされ、路上に落下し、転がってしまうこと。車を運転する人は、それを避けるように進まなくてはならない。
 ベランダにあるエアコンの室外機が飛ばされてしまうこともある。台風が去った後、室外機探しをしなくてはならなくなる。冷蔵庫もときに吹き飛ばされてしまうという。
 戦後、沖縄にはバラックづくりのような簡単な家が多かった。台風でその家が丸ごと飛ばされてしまい、翌日、家探しに奔走したという話も聞いたことがある。
 いま、沖縄を強風域に巻き込んでいる台風10号は、明日、九州の西側を北上しそうだ。台風はいつものように沖縄を通っていきそうだ。明日になると沖縄の日常が戻ってくる。新型コロナウイルスを予防しなくてはならない日常である。

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Posted by 下川裕治 at 12:54│Comments(0)
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