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ナムジャイブログ

2022年05月16日

マスクをめぐって……また日本

 日本ではマスクをめぐる話がにぎやかになってきた。コロナ禍が収束に向かうとき、必ず起きる話だとは思っていた。
 伏線は日本が入国規制を緩め、外国人観光客の入国に舵を切りはじめたことだった。欧米を中心に、マスクをする必要がない国が増えつつある。そういう国からの観光客を受け入れるということは、当然、マスクをめぐっての意識の違いが出てきてしまう。
 新型コロナウイルスは、世界の人々に多くの犠牲を強いた。亡くなった人たちだけでなく、経済的に追い詰められた人々も計り知れない。そのなかで人々は悩み、対処療法にすぎなかったかもしれないが、感染拡大を防ごうとしてきた。そのなかで僕が気になったことのひとつがマスクだった。
 欧米人はマスクを嫌うという話がよく出るが、本質は違う気がする。かつてのスペイン風邪の映像を見ても、欧米人の多くがマスクをしている。新型コロナウイルスへの対応をマスクに絞れば、欧米人はマスクが嫌いというより、それを国が強制することに反発した要素が強い気がする。それが欧米とアジアの大きな違いだった。
 欧米人はそれぞれの判断を自分でしようとする。底には個人主義が流れている。だから国家というものが、人々にマスクを強制しようとしたことに反発したわけだ。
 しかし日本を含めたアジアは違う。国が決めたことを皆が守ろうとする。その状況はさまざまだが、そこから派生した同調圧力などはとても日本的な反応でもあった。
 日本も屋外でのマスク着用を緩和しようとしているが、電車やバスの車内が最後に残ってくる気がする。
 専門家にしても、いまだ感染拡大をしっかり読み切れてはいないから、「電車のなかでもマスクをはずしても構いません」とは誰もいわない。そこで日本人は悩むことになるのだろう。
 そこで出てくるのは、国がその指針を出してほしいという意見である。国が決めることに反発する欧米人との意識の違いが浮き立ってくる。
 日本人は周囲を見ながら行動を決める民族だから、皆が電車のなかでマスクをすれば、それに倣う。心のなかでははずしたいと思っていても、なかなか行動に移せない。だから国が決めてほしいという論理に傾いていく。
 さて……である。これから電車のなかでマスクをはずした人への同調圧力がまた頭をもたげてくるような気がする。なんだかすごくいやな空気にまた包まれていく。
 コロナ禍の先が見えはじめたいま、国と社会という問題に、またしても不協和音が響きはじめ、重い空気に日本は包まれていく。
 2年半にも及んだコロナ禍の結末を、もう少しすっきりとさせたい方向になってくれればとは思うが、日本人はそうは動いてはいかない。
 いまから気が重い。

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Posted by 下川裕治 at 13:08│Comments(0)
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