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ナムジャイブログ

2022年10月03日

バンコク・カオサンの新陳代謝

 バンコクに滞在している。12月に発売になる「歩くバンコク」の製作のためだ。今日は特集ページ。料金交渉なしでトゥクトゥクに乗ることができるアプリを体験した。今回はいい内容になりそうだ。3年ぶりの発行である。充実したものにしないと読者に申し訳ない。
 コロナ禍で閉鎖した店が多く、地図チェックも大変だ。僕の担当はカオサン。2日間ほどカオサンを歩いた。
 地図をチェックしながら、
「こうして街は変わっていくんだ」
 と何回も呟いていた。たしかに閉鎖したゲストハウスやレストランは少なくない。しかし街は6~7割りは復活している。しかし地図をチェックしていくからわかるのだが、かなりの店が入れ替わっている。
 クイッティオというタイ風のそばの食堂がカフェになっていたりする。ゲストハウスのなかには、名前が変わり、改装されてずいぶんきれいになったところも少なくない。おそらくオーナーが変わったのだろう。
 レストランもずいぶん変わった。店名が変わり、タイ料理中心だった店が、日本料理をメニュー加えて再出発。観光客が完全に戻ったわけではないが、これからなんとかやっていこうというエネルギーが伝わってくる。
 しかし街並みが変わったわけではない。店のスペースは同じだが、内装や出す料理、そして並ぶ品が変わっているわけで、さっと見た感じは以前のカオサンと変わらない。しかし3年前の地図と比べると、店の内容が変化している。
 これがカオサンの新陳代謝ということなのだろう。
 新型コロナウイルスの嵐が吹き荒れ、姿を見せない観光客を前に、多くの店主は天を仰ぎ、涙ながらに店を閉めた。タイは助成金や給付金の類がほとんどなかったから、客がこなければ閉鎖するしかない。しかし資金のある人が、ポストコロナに期待をかけて新しい店をつくる。こうして街が変わっていく。
 世界はウイルスに留まらず、災害などに常に晒されている。壊滅的な打撃を受けるわけだが、そのなかから復活していく。カオサンを見ていると、そこに見えざる手が作用し、街の新陳代謝が起きる。振り返ってみれば、コロナ禍をテコに街が生まれ変わる。
 転じて日本。手厚いかどうかは評価が分かれるかもしれないが、そこそこの助成金が支給され、多くの店が廃業を免れた。そしてコロナ禍が去りつつあるいま、苦しいといいながらも、コロナ禍前と同じように店を開いている。だから日本の街は変わらない。新陳代謝は起きなかったといってもいい。
 しかし外観は変わらないというのに、なかをのぞくと、コロナ禍前とは確実に変化しているカオサンからは、日本にはないエネルギーが伝わってくる。それは成熟した国と、まだ手荒さを残した国との違いなのだろうか。
 カオサンの地図チェックで、足は棒のようになったが、心は少し軽くなった。

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Posted by 下川裕治 at 11:14│Comments(0)
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