2023年01月09日
旅がはじまらない
昨年の12月、ソウルの仁川国際空港に着いた。3年ぶりに韓国である。入国システムは変わっていた。K-ETAという、アメリカのESTAのようなビザシステムが導入されていた。1万ウォンの手数料がかかる。
加えてQ-CODE。これは新型コロナウイルスに対する水際対策。QRコードを提示し、その場で体温を測った。
ここまではそれほど違和感がなく進んだ。こういった手つづきは、コロナ禍の旅で慣れていた。感染が拡大している時期は、もっと多くの事前申請や空港でのチェックがあったからだ。
しかしこのチェックをすぎれば、韓国もコロナ禍前に戻っていた。
旅がはじまる。
そんな思いがあった。しかし空港からソウル市内に向かう電車に乗るのに2時間もかかってしまった。かつての旅が戻ってこないのだ。いつも空港でシムカードを挿れるか、ルーターを借りていた。到着階には韓国の通信会社のブースがいくつかある。いつもどの会社で手つづきをしていただろうか。その記憶が3年の間に消えていた。
残った韓国の紙幣を入れていた袋に、Tmoneyというカードが入っていた。スイカのようなICカード。地下鉄や電車に乗るとき、リーダーにかざせばいい。そのカードはあるのだが、どのくらいの金額が残っているかわからない。どうやって残額を確認するんだろうか。もう記憶がない。
旅のノウハウをゼロからスタートさせなくてはならない。前のようにスムーズにはいかないのだ。ひとつ、ひとつ埋めていく。
コロナ禍の旅は、さまざまなチェックやウイルス対策、そしてそのなかで休業してしまった店など街の様子を綴っていった。NoteやYouTubeでそれを紹介していった。そんな時期がようやく終わり、旅が戻ってくる。そこで僕はどんな旅を書くのだろう。そのスタンスがみつからず、noteやYouTubeも休載している
ポストコロナの旅……。その糸口をみつけたくてソウルにきたようなところもある。
空港からの電車がソウル駅に着いた。駅の周囲にある何軒かの安宿を知っていた。温泉マークが目印。モーテルという看板を掲げた宿が多い。その一軒を訪ねる。跡形もなく消えていた。その近くにある安宿へ。宿はあったが、ドアにはコードのようなものがぎりぎりと巻かれていた。そこから少し離れた2軒……。そこはドアがチェーンで封鎖されていた。コロナ禍の間に、僕の旅を支えてくれた宿が消えていた。
ドアの前で立ち尽くす。
旅がはじまる。
いや、旅がはじまらない……。
僕がソウル駅周辺で泊まった安宿はことごとく閉鎖されていた。しかたなく、かつての安宿をリノベーションした宿のドアを開けてみた。1泊6万ウォンだといわれた。そのときのレートで7000円ほどになる。
旅が戻らない。マイナス15度の寒風のなかでただ立ち尽くす。
■YouTube「下川裕治のアジアチャンネル」。
https://www.youtube.com/channel/UCgFhlkMPLhuTJHjpgudQphg
面白そうだったらチャンネル登録を。。
■ツイッターは@Shimokawa_Yuji
加えてQ-CODE。これは新型コロナウイルスに対する水際対策。QRコードを提示し、その場で体温を測った。
ここまではそれほど違和感がなく進んだ。こういった手つづきは、コロナ禍の旅で慣れていた。感染が拡大している時期は、もっと多くの事前申請や空港でのチェックがあったからだ。
しかしこのチェックをすぎれば、韓国もコロナ禍前に戻っていた。
旅がはじまる。
そんな思いがあった。しかし空港からソウル市内に向かう電車に乗るのに2時間もかかってしまった。かつての旅が戻ってこないのだ。いつも空港でシムカードを挿れるか、ルーターを借りていた。到着階には韓国の通信会社のブースがいくつかある。いつもどの会社で手つづきをしていただろうか。その記憶が3年の間に消えていた。
残った韓国の紙幣を入れていた袋に、Tmoneyというカードが入っていた。スイカのようなICカード。地下鉄や電車に乗るとき、リーダーにかざせばいい。そのカードはあるのだが、どのくらいの金額が残っているかわからない。どうやって残額を確認するんだろうか。もう記憶がない。
旅のノウハウをゼロからスタートさせなくてはならない。前のようにスムーズにはいかないのだ。ひとつ、ひとつ埋めていく。
コロナ禍の旅は、さまざまなチェックやウイルス対策、そしてそのなかで休業してしまった店など街の様子を綴っていった。NoteやYouTubeでそれを紹介していった。そんな時期がようやく終わり、旅が戻ってくる。そこで僕はどんな旅を書くのだろう。そのスタンスがみつからず、noteやYouTubeも休載している
ポストコロナの旅……。その糸口をみつけたくてソウルにきたようなところもある。
空港からの電車がソウル駅に着いた。駅の周囲にある何軒かの安宿を知っていた。温泉マークが目印。モーテルという看板を掲げた宿が多い。その一軒を訪ねる。跡形もなく消えていた。その近くにある安宿へ。宿はあったが、ドアにはコードのようなものがぎりぎりと巻かれていた。そこから少し離れた2軒……。そこはドアがチェーンで封鎖されていた。コロナ禍の間に、僕の旅を支えてくれた宿が消えていた。
ドアの前で立ち尽くす。
旅がはじまる。
いや、旅がはじまらない……。
僕がソウル駅周辺で泊まった安宿はことごとく閉鎖されていた。しかたなく、かつての安宿をリノベーションした宿のドアを開けてみた。1泊6万ウォンだといわれた。そのときのレートで7000円ほどになる。
旅が戻らない。マイナス15度の寒風のなかでただ立ち尽くす。
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Posted by 下川裕治 at 11:27│Comments(0)
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