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ナムジャイブログ

2011年10月10日

フェイスブックが浮き立たせるもの

「下川さんはフェイスブックやツイッターをやらないんですか」
 最近、よく聞かれる。笑ってごまかしているが、本心をいえば、やるつもりはない。
 その理由も薄々わかっている。
 僕は原稿を書くことを仕事にしてしまっているからだ。
 このブログにしてもそうである。ブログというものは、本来、日記のように身辺のできごとを語るところからはじまったものだ。しかし、そういう書き方が苦手だ。どうしても原稿になってしまう。
 不器用ということなのかもしれない。しかし、ただでさえ、日々、締め切りに追われ、格闘している身にしたら、器用にブログをこなす余裕がないというのが本音だ。
 自分のなかでは、パソコンなり、原稿用紙に書くということは、不特定多数の人に向かって書くことという流儀がインプットされてしまっている。
「でも、フェイスブックは違いますよ。限られたメンバーのなかでの交信ですから」
 それもわかっている。
 しかし、どうしてそのメンバーのなかで、交信をしなくてはいけないのだろう……という、なんだか根本的なところで立ち止まってしまうのだ。
「親しい人と交信したり、昔の知り合いとネット上で出会ったりできるんですよ」
「昔の知り合いと出会いたいとは、なぜか思わないんだよな。自分の昔なんて、恥ずかしいことばかりだし、それを知っている人と再び連絡をとるっていうのもね」
「それ、すごく暗くないですか」
「暗い?」
「そういう友だち、いないんですか?」
「友だちねぇ」
 できれば、人とあまり出会わず、ボーとしていたいタイプである。できればメールもしたくない。仕事上の連絡はしかたないと思う人間である。しかしひとりでは生きていけないことも知っている。ときに、人恋しさが募り、人と会うことはあるが、やはり最後はひとりで「ぽそッ」としてしまう。
 原稿を書くということは、最初から最後までひとりの仕事だ。人間嫌いの人恋いし……といった性格でなければ続かない。人との話ややりとりのなかでは、ヒントはみつかっても、そこで原稿が書けるわけではないのだ。
 フェイスブックをビジネスや自分のアピールのために使うという発想はよくわかる。しかし、そういうものを読まされるのも辛い気がする。
 インターネットは、文章を書くということを身近にさせた……という人がいるが、僕はその距離が遠のくばかりだ。皆がこぞって、フェイスブックだ、というのに、それについていけない自分が浮き立ってしまう。
 やはり暗い人間なのだろうか。



Posted by 下川裕治 at 12:14│Comments(3)
この記事へのコメント
初めまして、アラックと言います。
アラックはお酒のアラックからいただきました。
本は必ず買っています。
大ファンです。
私はダイバーで水中写真を撮ります、50歳。
格安旅はしませんが、下川さんの旅が大好きです。
近年、お金が無くて、お盆にバリへ行く旅ばかりです。
こちらへお邪魔できて光栄です。
パソコン苦手です。
フェイスブックもツイッターも訳が
分からないんです。
Posted by アラック at 2011年10月10日 14:04
そう思いますよ。書き手というのは。
Posted by tani at 2011年10月12日 23:00
私もフェイスブックもツイッターもやらない。 自分でコンピューターの部品を買っ
てゼロから作ることができるから、情報通信の大切さはわっかているつもりであ
る。
しかし、 なぜこうも沢山の人々が、私はこういう人間でこんなことを考えている
んですよ、と他人にむけて自分をさらけ出さねばならないのであろうか?

私が卒業した小学校には通信簿がなかったことが影響しているのかもしれない。
塾などがない時代だったから、 自分が勉強ができたのかできなかったのか、 全
く知らなかった。今でも通信簿はないそうである。 信州大学を出られた先生が算
数から音楽まで全て教えていた。 ある日テストの後、 平均点がどのくらいだっ
たのか聞くと、 他人の点数は関係ない、 自分と向き合っていることが一番大事
なことだ、とおっしゃった。

私と妻(米国人)がまだ日本に住んでいた30年前、 小田急線で日本人の男が妻に話
しかけてきて、 いきなり僕は東大を出てY新聞に勤めています、 と言ったそうで
ある。馬鹿だなそいつは、 と思った。 何故おれがおれがと自己発信を他人に向
けてしなければならないのだろうか? それも全くの他人に。 結局、 そういう色
眼鏡で見てほしいと言うことなのだ。自分に自信がないのだ、 つまるところ。

フェイスブックもツイッターもやっている人々のかなりの多数は他人に向けるて
自己発信をしないと不安でしかたないのではないだろうか?

最期に、 下川さんの旅行記、 楽しく読ませていただいております。
Posted by Shimizu at 2011年10月21日 23:37
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