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ナムジャイブログ

2011年12月05日

1台の救急車より点滴バイク

 バンコクでBTSや地下鉄の駅から少し離れたところに泊まると、つい、バイクタクシーに乗ってしまう。事故とか排気ガスといったことを考えれば、乗らないほうがいいのかもしれない。運賃もタクシーより安いわけではない。しかし、目的地に渋滞も関係なく着いてしまうことはありがたい。時間に余裕のないときは、やはり頼ってしまう。
 最近のタイは景気がいいらしい。時間帯や場所にもよるが、渋滞が戻ってきつつある。先日も乗ったタクシーがひどい渋滞にはまってしまった。約束の時刻に間に合いそうもない。バイクタクシーに頼るしかなかった。
 バンコクという街は正直だ。少し景気がよくなると、すぐに渋滞が現れる。それに比べると、東京の車の混み具合は、景気への反応が鈍い。この違いはなんだろうか……と考えることがある。街の構造だろうか。民族の違いだろうか。
 先週はカンボジアにいた。プノンペンもバイクタクシーが欠かせない街だ。プノンペンのそれは、後部座席が水平で広く改造してある。安定感があって座り心地もいい。バンコクのバイクタクシーも、そのくらいの改造をしてほしいといつも思う。ブレーキをかけたときなど、尻が前に動いていってしまうのだ。バンコクには、そういう改造を規制するルールでもあるのだろうか。そんなものはない気がするのだが。
 カンボジアでは、よく点滴バイクを見かける。患者が後に乗り、点滴をしながら病院に向かうのだ。村の診療所などで治療を受け、点滴をしながら病院に向かうのではないかと思う。重症ではないのだろうが、田舎の道ではじめてこの光景を見たとき、いったいどういう国なのかと思ったものだった。
 そんな話を海外で活動する日本の医療NPOのスタッフと話したことがある。
「それってすごいアイデアかもしれない」
 彼は目を輝かせた。
 救急車が少ない発展途上国では、患者の病院への移送が大変なのだという。点滴をしながら移送しようと思うと、天井の高い車を用意しないといけない。しかし一般にすぐ手配できるのは、通常の乗用車。点滴用のフレームが引っかかってしまい、なかなかうまく点滴セットを車内に持ち込めないらしい。
「バイクなら、すぐにできるじゃないですか。簡単そのもの。バイクはすぐに手配できますからね」
 発展途上国といっても、都市の渋滞が社会問題になっているところが多いという。道の拡張といったインフラが整わないまま、車だけが増えてしまうのだ。そんな街では、救急車もなかなかうまく機能しない。しかしバイクなら問題はない。
 1台の救急車より点滴バイク。使い勝手のいいものは現場にある。そういうことなのだろう。


Posted by 下川裕治 at 15:47│Comments(0)
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