2012年05月07日
代官山と胡同とKビレッジ
人には食事や酒を飲む店のイメージというものがあるらしい。僕のそれは、やはりタイの屋台である。自分ではそんなに限定しているつもりはないのだが、これまで書いてきた本のイメージからすれば、屋台なのである。車の騒音や街の喧噪に晒されながら、屋台の隅でぼんやりしている姿なのだろう。
先日、バンコクのKビレッジというところに出かけた。スクムビット通りとラーマ4世通りに挟まれた一画で、しゃれたチェーン店が多く入っている。値段も高い。そのなかにベトナム料理屋があった。パヨンヨーティン通りのソイ5にあった店だった。
店員はタイ人とは思えないほど、きちんと教育を受けていた。
その話を知人にした。
「下川さんはKビレッジなんて行っちゃいけませんよ」
そういわれてしまった。僕のイメージに合わないのだろう。
東京の代官山に出かけた。まあ、ここも僕のイメージには合わない場所である。夕方、一軒のカフェに入った。店内は満席でテラス席になった。もとは広い一軒家だったのだろうか。その敷地に、打ちっ放しのコンクリートを使った複雑な構造の建物があった。カフェ、宝石店、しゃれた美容院、高級そうなレストランなど入っている。
そのテラスでコーヒーを飲みながら、意識が一瞬、北京に飛んでしまった。
北京の胡同が改築され、こんなつくりになっているところが何カ所もあるのだ。北京のことだから、カフェよりはおしゃれなレストランが多いが。上海でも、オールド上海風の建物を改装し、さまざまな店が入るスタイルが流行っている。
バンコクのKビレッジにしても、その流れだろうか。代官山や北京、上海よりは規模が大きいが、同じコンセプトである。
こういうエリアには、必ず、犬のトイレがある。砂場だったり、おしっこをした後を流すスタイルのところもあるが、このエリアにやってくる人は、犬を飼っている。そして犬を連れてやってくるのがスタイルらしい。
世界規模でみれば、東南アジアや中国は経済成長の枠組みのなかにいる。世界で唯一の成長エリアだといっていい。当然、都市への人口集中が起き、再開発が進んでいく。そこでできあがる街が、どれも欧米を真似したものばかりなのだ。
しかし僕のイメージは、相変わらず、タイの屋台らしい。うろうろしていると、バンコクの街のなかから、そんな屋台は消えてしまうのかもしれない。街の片隅に、どんどん追いやられていくような予感がある。
それが僕が生きてきた57年のアジアなのだろうが。
先日、バンコクのKビレッジというところに出かけた。スクムビット通りとラーマ4世通りに挟まれた一画で、しゃれたチェーン店が多く入っている。値段も高い。そのなかにベトナム料理屋があった。パヨンヨーティン通りのソイ5にあった店だった。
店員はタイ人とは思えないほど、きちんと教育を受けていた。
その話を知人にした。
「下川さんはKビレッジなんて行っちゃいけませんよ」
そういわれてしまった。僕のイメージに合わないのだろう。
東京の代官山に出かけた。まあ、ここも僕のイメージには合わない場所である。夕方、一軒のカフェに入った。店内は満席でテラス席になった。もとは広い一軒家だったのだろうか。その敷地に、打ちっ放しのコンクリートを使った複雑な構造の建物があった。カフェ、宝石店、しゃれた美容院、高級そうなレストランなど入っている。
そのテラスでコーヒーを飲みながら、意識が一瞬、北京に飛んでしまった。
北京の胡同が改築され、こんなつくりになっているところが何カ所もあるのだ。北京のことだから、カフェよりはおしゃれなレストランが多いが。上海でも、オールド上海風の建物を改装し、さまざまな店が入るスタイルが流行っている。
バンコクのKビレッジにしても、その流れだろうか。代官山や北京、上海よりは規模が大きいが、同じコンセプトである。
こういうエリアには、必ず、犬のトイレがある。砂場だったり、おしっこをした後を流すスタイルのところもあるが、このエリアにやってくる人は、犬を飼っている。そして犬を連れてやってくるのがスタイルらしい。
世界規模でみれば、東南アジアや中国は経済成長の枠組みのなかにいる。世界で唯一の成長エリアだといっていい。当然、都市への人口集中が起き、再開発が進んでいく。そこでできあがる街が、どれも欧米を真似したものばかりなのだ。
しかし僕のイメージは、相変わらず、タイの屋台らしい。うろうろしていると、バンコクの街のなかから、そんな屋台は消えてしまうのかもしれない。街の片隅に、どんどん追いやられていくような予感がある。
それが僕が生きてきた57年のアジアなのだろうが。
Posted by 下川裕治 at 11:59│Comments(0)
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