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ナムジャイブログ

2013年02月12日

公園カフェで日本人を知る

 バンコクのサパーンクワーイに不思議なカフェをみつけた。前から気にはなっていたのだが、入ってみると、やはり不思議だった。
 そこはいってみれば、歩道に沿った公園である。なかには、ベンチに座ったおばあさんの彫刻とか、自転車、動かなくなったトゥクトゥクなどが、無造作に、いや、見ようによってはアートっぽく配置されている。木々も多い。その間に、テーブルと椅子が置かれているのだ。
 入ったきっかけはネットだった。このカフェの入り口には、冷房の効いた普通のカフェがあり、パソコンを開いている人がいた。
 ひょっとしたら……と訊いてみた。
「室内より、屋外のカフェのほうが電波が強いんです」
 泊まっているホテルは、ネットの設備がなかった。1日に1回ぐらい、メールを見ないと、いろんな人から怒られる。ネットのつながるカフェを探していたのだ。
 丸いガラステーブルを選んで、そこに座った。教えてもらったパスワードを打ち込む。ネットは問題なくつながった。木陰で1杯40バーツというサパーンクワーイ価格のコーヒーを飲みながらメールを打つ。
 バンコクらしくない空間……と思っていたが、やはりバンコクだった。テーブルの下から、1センチもある大きなアリが、わらわらと出てきたのだ。
 アリと格闘が続く。モニターの上を歩く1匹を追い払い、キーボードに潜り込む1匹を息で吹き飛ばす。ズボンを這い上がる1匹を払い、コーヒーカップに上ってきた1匹をつまんで草むらに放る。
 しかし周りのタイ人は優雅だった。たぶんいろんな虫がいると思うのだが、顔色ひとつ変えずに仲間と話している。
 昔から思うのだが、タイ人は、屋外で飲んだり、食べたりすることが大好きである。タイ人の家に下宿させてもらっていたが、夕飯をよく物干しで食べた。外のほうが気持ちがいいというのだ。外には、蚊や毒蛇、ゲジゲジの一種、よくわからない毒虫がいっぱいいるから気をつけろ……というわりに、外で酒を飲んだり、食事をする。よくわからない人たちだった。
 夕暮れどき、公園カフェの前を通った。テーブルにロウソクの灯りが揺れている。ここは歩道の屋台から出前も頼めるらしい。食事会モードのテーブルもある。テント式の屋根付きテーブルの下では、カップルが蚊に刺された足を掻きながら、いい笑顔をつくっている。
 いまがいちばん、蚊が舞う時間帯。しかし彼らは、虫よりも屋外だった。
 僕は蚊が嫌いだ。刺されるといらいらしてしまう。すぐ蚊取り線香に頼ってしまう。毒虫にも弱い。これがタイ人と日本人の違いなのだろうか。
 公園カフェには、毎日通った。アリのいないテーブルもいくつか覚えた。やはり僕は日本人らしい。


Posted by 下川裕治 at 14:41│Comments(0)
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