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ナムジャイブログ

2013年03月04日

日本への帰国を決めた女性たち

 チェンマイのゲストハウスで、ひと組の家族を目にした。30代に見える夫婦と4、5歳の娘がひとり。子供は父親と一緒にプラスチック製のおもちゃで遊んでいた。その横で、母親がスマホを一心に見ている。
 子供の会話が耳に届いた。日本語だった。父親はタイ人で、「だめ」とか、「できた」といったカタコトの日本語を話していた。
 こんな光景をときどき目にする。タイだけではない。アジアの街でよく見かける。
 家族の暮らしを想像してみる。夫婦の会話は日本語と現地語なのだろう。しかし妻の現地語に比べると、夫の日本語はうまくない。母親と娘の会話は日本語に染まっている。夫の存在感は薄い気がする。
 タイ、マレーシア、カンボジア、ラオス……そんな国々で目にする、日本人女性と現地男性の家族にはそんな傾向が強い。
 理由は簡単明瞭かもしれない。男たちの経済力は貧弱だ。一家の生活は、妻の収入にかかっている。つまり、その家では、妻の存在感が圧倒的なのだ。
 しかし経済的には頼りにならない男たちにも、いいところはある。優しいのだ。子供の面倒をいとわず、料理もつくる。洗濯だってしてくれる。まあ、言葉は悪いが、ヒモ的な要素を備えた男たちだといっていい。
 このエリアにも、経済的に頼ることができる男はいる。しかしその多くが中国系だ。となると家が尊重される。夫の両親は絶対で、親戚づきあいが煩わしい。
 知人が日本に帰る飛行機のなかで、ひとりの日本人女性と会った。幼い子供をふたり連れていた。そして3人目を身ごもっていた。ところが彼女は、タイ人の夫と離婚し、日本に帰る途中だったのだ。
「大変ですね」
 知人の言葉にその女性は、あっけらかんとした顔でこう答えたという。
「タイにいても、私の収入だけで生きていたから同じですよ。日本にいい仕事がみつかったんで帰ることにしたんです」
 頼りにならない男は、女性をたくましくするということなのだろうか。
 僕の周りを見ていても、子供ができ、小学校に入るような年齢になると、日本に帰る女性が多い。離婚に踏み切る女性もいるが、夫も一緒に日本にいく家庭もある。どちらの国にいても家庭を支えるのは女性である。
 日本の経済環境が暗転し、専業主婦は望めない時代になりつつある。夫の収入にだけ頼っては生きていけないのだ。
 その先をゆくのが、アジアで家庭をもった女性たちなのだろうか。
 アジアの男性との結婚を選んだ女性たちのなかには、日本の閉塞感に息を詰まらせていた人が多い。しかしその結果、アジアでたくましさを身につけ、日本に帰る。これをどう考えたらいいのだろうか。



Posted by 下川裕治 at 11:17│Comments(1)
この記事へのコメント
 3月1日午後2時過ぎにチェンマイの飛行場の到着ゲート外で、迎えを待っておられるお姿を拝見しました。私は送って貰った車の中で、出発ゲートに向かっていました。直ぐに戻ったのですが、お姿は見えませんでした。
 10年程仕事でタイに行っています。工場を見ますと、男性も女性も20代は良いのですが、30代になると職場が無くなって行く様な気がします。

 
Posted by Plasma at 2013年03月09日 15:13
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