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ナムジャイブログ

2018年09月17日

都会の電波、辺境の電波

 スカイベリーというルーターを再び使うようになった。世界120カ国を1台のルーターでカバーできると、案内には書かれていた。はじめて使ったときは、たしか90カ国程度だった記憶がある。電波が繋がる国は着実に増えいるようだ。
 話をもちかけられたのは、タイの会社からだった。モニターの依頼だった。ルーターが貸与された。僕のような旅をするタイプには便利だった。
 たとえば国境を陸路で越える。いまの空港には、その国で使うことができるシムカードを販売ブースやルーターを貸し出すコーナーがあることが多い。しかし国境にはその種の店はまずない。
 しかしこのルーターがあれば問題はなかった。国境を越えてしばらくすると、その国の電波を拾いはじめる。そこからネットが使えるわけだ。
 モニター期間が終わった。そのまま契約をして使おうと思ったが難しかった。契約はタイ在住者に限られていた。結局、日本の会社と手続きをした。
 今回は台湾、シンガポール、インド、パキスタン、中国と移動した。台湾では、台湾の携帯電話の電波を拾い、Wi-Fiに変換してくれる。シンガポールは空港内の乗り換えだったがネットに繋ぐことができた。インドも問題がなく、パキスタンもイスラマバードまでは繋がった。
 僕はそこからフンザに向かった。カラコルムハイウエイを進む。その頃から繋がりが悪くなった。途中からはまったく接続することができなかった。
 標高4693メートルのクンジュラブ峠を越えて中国に入った。そのとたん、しっかりと電波を拾い、ルーターにはWi-Fiマークが表示された。しかしネットを使うことはできなかった。理由もわかっていた。ルーターではなく中国の問題だった。
 中国政府は、グーグルへの接続をブロックしていた。ヤフーも不安定だ。当然、ラインやフェイスブック、ユーチューブも繋がらない。
 しかしそこには抜け穴もあった。そのからくりがよくわからないのだが、VPNの設定を行うと、なんの問題もなくグーグルにもつながるのだ。中国を訪ねる外国人は、このVPNを用意する人が多い。有料なのだが。
 クンジュラブ峠からカシュガルに出た。その間、ネットは繋がるのだが、VPNが機能しない状態が続いた。そもそもVPNというものがわかっていないから、対処の方法がない。
 カシュガルから帰国した。カシュガルは飛行機の乗り継ぎが悪く、成都で1泊することになった。成都の空港に着き、試しに繋いでみた。
「そういうことか」
 僕はスマホを見ながら呟いてしまった。しっかりとVPNが機能していた。都会の電波と辺境は違う? そんなことはない気がするのだが、複数国対応のルーターやVPNは辺境に弱い。理由はわからないが、妙に納得している。

■このブログ以外の連載を紹介します。
○クリックディープ旅=玄奘三蔵が辿ったシルクロードの旅。いまは中央アジア編を連載中。
○どこへと訊かれて=人々が通りすぎる世界の空港や駅物。
○東南アジア全鉄道走破の旅=苦戦を強いられている東南アジア「完乗」の旅。インドネシアの列車旅の連載中。
○タビノート=LCCを軸にした世界の飛行機搭乗記


Posted by 下川裕治 at 13:34│Comments(0)
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